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SEO会社M&Aの実務ガイド 顧客継続率・アルゴリズム依存・人材承継まで整理

2026 7/05
コラム
2026年6月14日2026年7月5日
SEO会社M&Aで確認すべきKPI、顧客継続率、人材承継を整理したコラムのアイキャッチ画像

「SEO会社 M&A」で情報収集している経営者の多くは、単純な会社売却の相場だけでなく、継続契約がどこまで引き継がれるのか、属人的なノウハウをどう説明すべきか、検索アルゴリズム変動リスクをどのように評価されるのかまで知りたいはずです。SEO会社は、Web制作会社や広告運用会社と似ているようで、実際には売上の見え方、成果の説明責任、担当者依存、コンテンツ資産、レポーティング体制、外注ネットワークの質が企業価値に直結する点で独特です。

特に近年は、SEO単体の受託だけでなく、コンテンツ制作、CVR改善、Web解析、LLMO対応、サイト改善、オウンドメディア運営支援まで含めた総合支援型へとサービスが広がっています。そのため、M&Aの場面でも「SEO順位を上げられる会社か」ではなく、再現性ある仕組みを持つ会社か、顧客との関係を継続できる会社か、組織として成果を出せる会社かが問われます。

本記事では、SEO会社の譲渡や資本提携を検討する譲渡企業様に向けて、M&Aで見られやすい論点を体系的に整理します。譲渡相談、買い手登録、コラム一覧、M&A事例、中小M&Aガイドライン、プライバシーポリシーもあわせて確認しながら、自社の準備に落とし込んでみてください。

目次

SEO会社M&Aが増える背景

SEO会社のM&Aが増えている背景には、買い手側と譲渡企業様側の双方に明確な事情があります。買い手側では、広告運用、Web制作、SaaS、CRM導入、MA運用、コンテンツマーケティングなど周辺領域を持つ企業が、SEO支援を内製化または統合提案したいという需要を強めています。単発の制作案件だけではなく、月額顧問や継続支援の比率が高いSEO会社は、組み合わせ次第でLTVの高い顧客基盤を作りやすいからです。

一方で譲渡企業様側には、代表者依存からの脱却、採用難、担当者の離職リスク、アルゴリズム変動への継続投資、AI活用の再設計、競争激化への対応といった現実があります。SEOは参入障壁が低く見えやすい反面、実務では案件設計、技術監査、編集品質、検索意図理解、運用体制、レポート設計、顧客コミュニケーションまで高い総合力が必要です。代表者の営業力や個人ブランドで成長してきた会社ほど、一定規模を超えた時に次の成長手段としてM&Aを選ぶことがあります。

また、SEO会社は「売上規模の割に利益が安定しない」「順位変動を理由に顧客解約が起こりうる」「属人的に見えやすい」といった先入観を持たれやすい一方で、実際には運用プロセスと顧客継続率が整っていれば、高く評価されるケースもあります。だからこそ、譲渡企業様は単に案件数や売上だけを示すのではなく、成果を生み続ける仕組みの説明に力を入れる必要があります。

SEO会社のM&Aで買い手が特に見る4つの価値

1. 継続売上の質

SEO会社の売上には、月額コンサル、記事制作、内部改善、外部施策、アクセス解析、サイト改修、ツール利用料など複数の要素が混ざります。買い手が知りたいのは、売上の絶対額よりも、どこまで継続性があり、どの売上が再現可能かです。例えば、毎月のレポーティングと改善提案がきちんと定例化されており、契約更新率が高い会社は評価されやすくなります。逆に、代表者個人への信頼だけで続いている案件は、引継ぎ後の解約リスクが大きいと見られます。

2. 顧客ポートフォリオの健全性

SEO会社では、特定の大口顧客に売上が偏ることがあります。大口顧客自体が悪いわけではありませんが、1社依存が強いと、M&A後に契約見直しが起きた際のインパクトが大きくなります。業種分散、契約期間、担当範囲、アップセル余地、クロスセル余地まで含めて説明できると、買い手は安心しやすくなります。

3. 組織としての運用力

SEO会社の評価で意外と差がつくのが、案件運用が属人的か、組織的かです。営業が受注し、SEOコンサルが戦略を作り、編集が記事品質を担保し、エンジニアが技術改修を支援し、アナリストが検証する流れが可視化されていれば、PMI後の統合も進めやすくなります。反対に、代表者だけが顧客課題、競合分析、検索意図、レポートの意味づけ、契約条件を把握している場合、買い手は引継ぎコストを大きく見積もります。

4. コンテンツ・データ・改善知見の資産性

SEO会社は無形商材に見えますが、実際にはテンプレート、監査シート、競合分析手順、記事制作ガイド、GA4やSearch Consoleの運用知見、案件別の改善履歴など、多くの資産を持っています。これらが散在せず、他の担当者が再利用できる形で残っているかは、企業価値に直結します。案件の成功事例だけではなく、失敗から得た改善ルールまで体系化できている会社は強いです。

譲渡企業様が最初に整理したいKPI

SEO会社のM&Aでは、単なる損益計算書よりも、案件実態を説明できるKPIの整理が重要です。買い手は「何が続いて、何が偶発か」を見極めたいからです。以下の指標は、最低限すぐ出せる状態にしておきたい項目です。

  • 月額継続売上とスポット売上の比率
  • 上位10社の売上比率、解約率、平均契約期間
  • 新規受注チャネル別の成約率とCACの目安
  • 担当者別の案件粗利、稼働時間、案件数
  • 記事制作本数、内部改善件数、テクニカル監査件数の月次推移
  • GA4、Search Console、順位計測ツールなどのアカウント構成と管理権限
  • 平均レポート提出頻度、定例会実施率、顧客満足の定性情報
  • 外注比率、主要外注先の依存度、品質管理ルール

特に重要なのは、順位変動だけでなく事業KPIへの寄与を説明できるかです。問い合わせ数、商談数、資料請求数、自然検索由来売上、獲得単価改善、コンバージョン率改善など、顧客の経営に近い数字を説明できる会社は、単なる作業代行会社ではなくパートナーとして評価されやすくなります。

もし数値の一部が揃っていない場合でも、今から整備すれば問題ありません。M&Aでは完璧さより、どの指標を経営判断に使っているか、足りない情報をどう補っているかが見られます。むしろ、数字が曖昧なまま相手任せで進めるほうが、DDで不信感を生みやすくなります。

SEO会社の企業価値算定で見られるポイント

SEO会社の企業価値は、一般論としてはEBITDAや営業利益をベースにしつつ、継続契約の質、解約率、担当者依存、顧客集中、運用体制、成長余地で補正されることが多いです。ただし、「SEO会社だから倍率はこう」と単純化できるものではありません。同じ売上規模でも、再現性のある月額支援型の会社と、短期案件中心の会社では評価が大きく変わります。

買い手が高く評価しやすいのは、例えば次のような状態です。

  • 月額顧問比率が高く、解約率が低い
  • 代表者が外れても運用品質が維持できる
  • 顧客が複数業種に分散している
  • コンテンツ制作、UI改善、解析、広告、CRMなどへの拡張性がある
  • 案件管理と権限管理が整備されている
  • 検索順位だけに依存せずCV改善まで支援できる

一方で、評価を下げやすいのは、順位保証に近い営業表現を多用している、主要顧客との契約書が弱い、アカウント権限が個人名義のまま、成果物の権利関係が曖昧、担当者退職時の代替が効かない、といった状態です。SEO会社は目に見える設備資産が少ない分、契約や運用ルールの弱さがそのままディスカウント要因になります。

譲渡企業様として大切なのは、相場観だけを気にするのではなく、評価される状態に整えてから相手と会うことです。相談の初期段階で、譲渡企業様の相談料・着手金・中間金・成功報酬は0円という条件が活きるのは、早めに準備に着手しやすいからです。早く相談するほど、数字と資料を整え、良い条件で比較できる余地が広がります。

デューデリジェンスで確認されやすい論点

顧客契約と成果物の範囲

SEO会社のDDでは、各契約が何を約束しているのかが厳しく見られます。月額費用に含まれる範囲、記事本数、レポート内容、定例頻度、改修支援の有無、解約条件、再委託可否などが曖昧だと、買い手は引継ぎ後のトラブルを懸念します。特に「順位改善を約束する」と誤読される表現が残っていないかは確認が必要です。

アカウント権限と名義

Googleアカウント、GA4、Search Console、タグマネージャー、順位計測ツール、CMS、サーバー、ドメイン、ヒートマップ、BI、広告アカウントなど、SEO支援には多くの権限が関わります。個人アドレスに紐づいたまま、担当者しかログインできない状態は典型的な減点要因です。どのアカウントを誰が持ち、どこまで顧客に帰属し、譲渡時に何を移管できるかを一覧化しておきましょう。

コンテンツと権利関係

記事制作を伴うSEO会社では、ライター、編集者、監修者、画像制作者との契約も重要です。納品物の著作権、二次利用可否、AI利用ポリシー、引用ルール、薬機法や景表法など高リスク分野でのチェック体制が未整備だと、買い手はコンプライアンスリスクを織り込みます。医療、美容、金融、人材、不動産、法律などを扱う案件が多い会社ほど、案件選定基準と品質管理フローが重要です。

人材と外注ネットワーク

SEO会社では、正社員よりも業務委託やフリーランスの比率が高いことがあります。問題は形態そのものではなく、誰が抜けると案件が止まるのか、代替可能か、ノウハウが会社に残っているかです。買い手は、主要メンバーの役割、報酬体系、稼働率、離職兆候、再委託先との関係性、教育方法まで見ます。

法務・労務・税務の基礎整備

SEO会社だから法務や税務が軽いわけではありません。外注費の処理、業務委託契約、源泉対応の要否、請求書発行体制、インボイス対応、個人情報管理、情報管理、就業ルール、兼業ルールなど、一般的な管理体制もDDで見られます。ここは士業や専門家の支援を受けながら整備するのが現実的です。

情報管理と打診順序の設計

SEO会社のM&Aでは、情報管理の設計が特に重要です。なぜなら、顧客や取引先に「会社が売られるらしい」という噂が先に広がると、解約や競合流出の引き金になり得るからです。また、従業員が不安になって離職すれば、その時点で企業価値が下がりかねません。

そのため、譲渡企業様は最初から会社名を出すのではなく、初期資料での打診から始め、条件整理後に限定共有し、面談後に詳細共有へ進む流れを基本にしたほうが安全です。どのタイミングで誰にどの粒度の情報を渡すか、共有資料を段階的に分けることが重要です。

  • 初期打診: 会譲渡条件を整理、規模、領域、強み、収益構造だけを要約
  • 条件整理後: 売上推移、顧客構成、組織図、主要KPI、契約類の概要を共有
  • 意向表明後: 個別顧客、担当体制、アカウント権限、原契約、課題事項を共有
  • 基本合意後: DD用にデータルームへ詳細資料を格納

この設計ができていると、買い手候補の本気度を見極めながら進められます。逆に、最初の面談から顧客名やURLや具体的な順位変動まで出し過ぎると、情報だけ取られてしまうリスクがあります。

PMIでつまずきやすいテーマ

成約が見えてくると、つい条件交渉ばかりに意識が向きますが、SEO会社M&AではPMI設計を先に考えておくことが重要です。引継ぎに失敗すると、売上は残っていても顧客満足が急低下し、数か月後に解約が連鎖することがあります。

顧客コミュニケーションの引継ぎ

SEO案件では、月次定例での言い回し、レポートの説明順、課題の優先順位付け、競合比較の切り口など、担当者固有のスタイルが顧客信頼を支えていることがあります。これを無視して急に担当変更すると、顧客は「支援品質が落ちた」と感じます。面談同席期間、引継ぎ議事録、Q&Aの標準化を準備しましょう。

運用フローとツール統合

買い手側に既存のレポートツールやプロジェクト管理ツールがある場合、統合を急ぎ過ぎると現場が混乱します。まずは現行フローを可視化し、どこを統一し、どこを残すかを決める必要があります。案件の棚卸しなしに一律で変更をかけるのは危険です。

営業メッセージの整合

買い手が広告運用会社や制作会社の場合、SEO支援の提案方法が異なることがあります。短期成果を強調し過ぎる営業文化が入ると、既存顧客との約束と齟齬が出ることもあります。M&A後の営業資料、提案書テンプレート、成果説明の表現を早めに揃えることが大切です。

主要人材のリテンション

SEOコンサル、編集責任者、テクニカル担当、アナリストなどのキーパーソンが不安を抱えたまま放置されると、PMI前後で離職が起こりやすくなります。報酬だけでなく、役割、評価、意思決定権、働き方、顧客との関わり方を明確にする必要があります。

譲渡企業様が今すぐ着手したい準備チェックリスト

以下は、SEO会社M&Aの初期相談前に取り組みやすい実務チェックリストです。すべてを一日で終える必要はありませんが、進めるほど面談の質が上がります。

  • 月次試算表と案件別売上・粗利の対応を取る
  • 上位顧客10社の契約条件、更新日、担当者、解約リスクを整理する
  • GA4、Search Console、CMS、サーバー、ドメイン、各種ツールの権限一覧を作る
  • 業務フローを「営業」「分析」「施策立案」「制作」「報告」に分けて見える化する
  • 主要メンバーと外注先の役割、代替可否、引継ぎ難易度を確認する
  • 再現性の高い成功事例を3件以上、数字付きでまとめる
  • トラブル案件や失注案件も棚卸しし、リスク説明に備える
  • 営業資料、提案書、監査レポート、記事制作ガイドなどの雛形を集約する
  • 情報管理の観点から、初期資料版と詳細資料版を分けて作る
  • 個人情報、著作権、表現リスクに関する社内ルールを確認する

このチェックリストを進める段階では、まだ譲渡を決め切っていなくても問題ありません。比較検討のための準備として進めておけば、譲渡を選ばない場合でも経営管理の質は上がります。早期相談のメリットはここにあります。

買い手候補の選び方

SEO会社のM&Aでは、価格だけで相手を決めないことが重要です。統合先の事業領域や組織文化によって、顧客継続率や人材定着率が大きく変わるからです。例えば、制作会社や開発会社との統合は技術面の連携が進みやすい一方、SEOの改善サイクルへの理解が薄いと、現場の価値が十分活かされないことがあります。広告運用会社との統合は営業面のシナジーが大きい一方、短期成果重視の文化が強いと、既存SEO顧客への説明が難しくなることもあります。

見極めるべきなのは、次のような点です。

  • 既存顧客との関係を尊重してくれるか
  • 主要メンバーの処遇や役割をどう考えているか
  • SEOを単なる下請機能としてではなく、価値ある事業として理解しているか
  • PMIの担当責任者が明確か
  • 追加投資や採用支援を行う意思があるか
  • 情報管理の運用が丁寧か

良い買い手は、条件提示だけでなく、統合後の運営イメージを具体的に語れます。逆に、売上規模と粗利率だけを見て、顧客継続や人材承継への質問が浅い相手には注意が必要です。

初回面談前に用意したい資料パッケージ

SEO会社M&Aでは、初回面談の前後で「何をどこまで見せられるか」によって、その後の進行速度が大きく変わります。資料が多ければ良いわけではありませんが、経営者の頭の中にしかない情報を言語化できているかどうかは、買い手の安心感に直結します。特にSEO会社は、成果が無形で、案件ごとの差も大きいため、資料の見せ方が重要です。

実務上は、次のような資料を段階的に準備すると進めやすくなります。

  • 会社概要: 主要サービス、得意業種、売上構成、人員体制、沿革
  • 顧客概要: 上位顧客の業種、契約類型、平均継続期間、1社依存度
  • KPI資料: 継続売上、解約率、案件粗利、受注チャネル別成約率
  • 組織資料: 役割分担、案件進行フロー、会議体、レビュー体制
  • 権限資料: 各種ツール、サーバー、CMS、ドメイン、共有ドライブの管理状況
  • リスク資料: 契約未整備、属人化、主要外注先依存、トラブル案件、是正中事項

ここで大切なのは、良い情報だけを並べることではなく、課題があるなら課題として整理されていることです。例えば「Search Console 権限が一部担当者個人に紐づいているが、6月末までに法人共通管理へ移す予定」「主要顧客2社は代表同席率が高いため、引継ぎ同席計画を作成中」といった形で、現状と改善方針が説明できれば、買い手は前向きに判断しやすくなります。

データルームで抜けやすいファイル

基本合意後のDDでは、データルームの整備状況がそのまま会社の管理水準として受け取られることがあります。SEO会社の場合、会計資料や契約書以外にも、業務運用に関わるファイルが大量に存在するため、どこまで格納するかの優先順位付けが重要です。

抜けやすいのに重要度が高いファイルとして、次のようなものがあります。

  • 主要顧客との月次レポート見本と定例議事録
  • サイト監査テンプレート、内部改善指示書、実装依頼テンプレート
  • 記事制作ガイドライン、編集チェックリスト、監修フロー
  • 検索順位だけでなくCVや売上改善につながった成功事例集
  • 主要メンバーの担当案件一覧と引継ぎメモ
  • 外注先との契約書、発注ルール、品質基準、検収ルール
  • 権限管理表、パスワード管理ルール、共有アカウントの運用方針
  • 炎上・順位急落・解約予兆が発生した際の対応履歴

買い手は「この会社の業務が将来も回るか」を知りたいのであって、単にファイル数を数えたいわけではありません。したがって、フォルダ構成が整理され、ファイル名が明確で、更新日と責任者が追える状態を目指すことが実務的です。データルーム整備は地味ですが、ここをきれいにするだけで譲渡企業様の印象は大きく変わります。

価格交渉の前に揃えたい説明ロジック

SEO会社のM&Aでは、価格そのものよりも、価格の説明根拠をどう組み立てるかが重要です。買い手から見れば、アルゴリズム変動、担当者離職、契約更新リスク、AIによる業務変化といった不確実性があります。一方、譲渡企業様から見れば、継続売上、顧客基盤、専門人材、運用テンプレート、ナレッジ資産、周辺サービスへの拡張性といった価値があります。交渉では、この両方を踏まえた説明が必要です。

例えば、次のようなロジックで整理すると、会話が建設的になりやすくなります。

  • 継続契約の質: 月額売上のうち、直近12か月で継続している比率は高い
  • 顧客継続の根拠: 契約更新率、定例実施率、提案採用率、紹介発生率が安定している
  • 属人化低減の根拠: 提案書、監査手順、レポート、編集ルールが標準化されている
  • 成長余地: 既存顧客に対するWeb制作、広告、CRM、解析、LLMO支援への展開余地がある
  • リスク管理: 主要顧客依存、個人名義権限、特定メンバー依存について改善計画がある

この整理がないまま価格交渉に入ると、譲渡企業様は「もっと高く評価されるはずだ」と感じ、買い手は「リスクに対して高すぎる」と感じて、噛み合わなくなります。価格は結果であり、納得感のある説明設計が前提です。

初回面談で譲渡企業様が確認したい質問

初回面談では、買い手候補の温度感とPMIの現実性を見極めるため、こちらからの質問も重要です。例えば「既存顧客への説明は誰が主導する想定か」「主要人材の役割をどう考えているか」「SEO事業を統合後にどの位置付けで育てるのか」「制作や広告との連携をどこまで想定しているのか」「レポートやツール基盤は統一するのか」といった問いを投げると、単なる価格提示では見えない相性が分かります。譲渡企業様が受け身になり過ぎず、承継後の姿を一緒に描ける相手かを見極めることが大切です。

SEO会社M&Aで起こりやすい失敗

代表者依存を軽く見積もる

「現場は回っているから大丈夫」と考えていても、実際には主要顧客の安心感を支えているのが代表者であるケースは少なくありません。面談同席、チャット返信、提案の最終判断、クレーム収束など、見えにくい役割を棚卸ししておかないと、引継ぎ後に一気に表面化します。

数字の定義がバラバラ

案件粗利の定義、継続顧客の定義、チャーンの定義、外注費の扱いが曖昧だと、買い手との会話が噛み合いません。M&Aでは「数字があるか」以上に「数字の定義が一貫しているか」が重要です。

良い案件だけを見せようとする

不利な情報を隠すより、リスクを把握し、対応方針とともに示したほうが信頼されます。順位下落があった案件、採算が悪い案件、担当者依存が強い案件をどう改善しているかまで話せるほうが、むしろ評価は安定します。

PMIの前提を詰めないまま基本合意へ進む

基本合意書にサインした後で「顧客引継ぎは誰がするのか」「主要人材の報酬はどうなるのか」「アカウント統合はいつするのか」が曖昧だと、クロージング前後で揉めやすくなります。条件交渉と同じくらい、移行計画を前倒しで詰めるべきです。

よくある質問

Q. SEO会社はアルゴリズム変動があるので評価されにくいですか。

A. 一律に評価されにくいわけではありません。変動リスクがあるのは事実ですが、顧客ポートフォリオが分散しており、順位だけでなくCVや売上改善まで支援できる会社は、リスク管理能力が高いと見られます。重要なのは、変動時の説明責任と改善フローを持っていることです。

Q. 顧客名はいつ共有するべきですか。

A. 初期段階では初期相談で進めるのが一般的です。条件整理後も、本気度や検討段階に応じて共有を分けるほうが安全です。特定顧客への依存が大きい場合ほど、共有順序の設計が重要になります。

Q. 業務委託比率が高いと不利ですか。

A. 直ちに不利とは限りません。重要なのは、主要外注先の継続性、契約の整備、品質管理、代替可能性です。会社にノウハウが残っており、外注先管理が機能していれば、十分説明可能です。

Q. まだ譲渡を決めていなくても相談してよいですか。

A. 問題ありません。むしろ、決め切る前に現状整理と相場観の把握を進めるほうが良いケースが多いです。譲渡企業様の相談料・着手金・中間金・成功報酬は0円のため、比較検討の初期段階でも動きやすいのが特徴です。

Q. 小規模なSEO会社でもM&Aは成立しますか。

A. 成立余地はあります。規模よりも、継続売上、顧客継続率、得意領域、担当体制、買い手とのシナジーが重要です。小規模でも、特定業界に強い、編集品質が高い、テクニカルSEOが得意、CV改善まで踏み込めるなどの強みがあれば十分に検討対象になります。

Q. 相談時点でどこまで資料を準備すべきですか。

A. 最初から完璧である必要はありません。月次売上、主要顧客構成、組織体制、サービス一覧、強みと課題が説明できれば十分スタートできます。その後、候補先や進捗に応じて詳細化していく流れが実務的です。

まとめ SEO会社M&Aは「順位」ではなく「継続できる仕組み」が評価される

SEO会社M&Aでは、順位変動や属人性が注目されがちですが、本当に見られているのは、顧客成果を継続的に生み出す仕組みがあるかです。継続売上の質、顧客ポートフォリオ、担当体制、権限管理、コンテンツ資産、情報管理、PMI設計まで含めて整っている会社は、買い手にとって引継ぎやすく、成長余地も見えやすくなります。

譲渡企業様としては、相場だけを追うより、まずは自社の再現性と引継ぎ可能性を言語化することが重要です。その準備ができるほど、より良い条件・より良い相手と出会いやすくなります。具体的に動き始める際は、譲渡相談フォームから相談し、必要に応じて買い手登録の動向や事例一覧も確認しながら進めると、判断材料を増やしやすくなります。

なお、本記事はSEO会社M&Aに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、法務、税務、会計、労務、金融その他の個別助言を行うものではありません。実際の取引条件、契約、税務処理、個人情報保護、労務対応等については、弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士、M&A実務の専門家などへ個別に確認してください。最終判断は個別事情を踏まえて行う必要があります。

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